時代劇や、妖怪が出てくるようなアニメを見ていると、
「くわばらくわばら」と、何かお祈りをしているような姿、見たことありませんか?
お年寄りが出てきて、何か呪文を唱えるかのように「くわばらくわばら」と唱える、という印象があるのですが、実際どんな意味なのか、どのように使うのか、気になりませんか?
そこで、「くわばらくわばら」の使い方、その由来などを調べてみました。
くわばらくわばらの意味は?由来や語源は?
「くわばらくわばら」は、落雷を防ぐための呪文で、雷がゴロゴロなっている時に「くわばらくわばら」と唱えると雷除けになるといわれています。
この不思議な言葉は、いつ・どのように誕生したのでしょうか?
実は、「くわばらくわばら」は、漢字では「桑原桑原」と書き、「桑原」は地名です。
この「桑原」の地と雷との関係について、いくつかの説があるのです。
最も有名な説は、「菅原道真が由来」というものです。
菅原道真という名前、どこかで聞いたことありませんか?
道真公は、有名な「太宰府天満宮」をはじめ、全国の「天満宮」に神として祀られている方で、平安時代の貴族・学者・政治家として大変才能のある方でした。
しかし、平安時代最大権力者の「藤原一族」の策略により、都のある京都から、福岡の太宰府へ左遷されてしまうのです。
道真公は、都から遠く離れた太宰府の地で、左遷された悔しさを忘れることなく亡くなります。
道真公の死後、都・京都では、まるで天変地異が起こったかのようにひどい落雷が頻発し、多くの貴族が落雷によって焼死しました。
人々は、その雷を、「菅原道真の怨霊が引き起こしたものだ」と思い、「道真公のたたりだ」と恐れたということです。
しかし、不思議なことに、かつて道真公の所領であった「桑原」の地には一度も雷が落ちなかったのです。
そのため、人々は、雷から身を守るため、「桑原へ、桑原へ(逃げろ)」と念仏のように口に出したり、桑原の地に着いた後も、手を合わせながら「桑原桑原」と祈ったりしたそうです。
その後も、この「桑原桑原」という言葉が習慣化し、雷除けの言葉として「くわばらくわばら」が使われるようになったといわれています。
もう一つの有名な話は、「空から降ってきた雷様が由来」というものです。
あるとき、足を踏み外した雷様(雷様の子供という説もあり)が空から落ちて、井戸に落ちました。
人々は驚き、雷様が井戸から出て来られないよう、井戸にふたをして雷様を井戸の中に閉じ込めました。
雷様は困ってしまい、「自分は桑の木が嫌いなので、くわばらくわばらと唱えた人がいる場所には、今後決して雷を落とさない」と約束して天に帰り、その土地に二度と雷が落ちるとがなくなったということです。
それが「兵庫県桑原(現在の三田市)欣勝寺(きんしょうじ)」や「大阪府桑原村(現在の和泉市)」という場所だったという言い伝えから、「くわばらくわばら」という、雷除けの言葉が生まれたともいわれています。
くわばらくわばらの使い方とは?雷除けおまじないなの!?
現在では、雷による被害を最小限にとどめるため、避雷針など、雷対策はあちらこちらで施されています。
なので、昔の人々ほど、雷の被害を受けることは少ないでしょう。
しかし、雷がゴロゴロピカピカ鳴っていると、安全な場所にいてもなんだか怖いもの。
そんな時に、「どうか雷が落ちませんように。くわばらくわばら。」というように使います。
しかし現在では、落雷で建物火災が起きることも少なく、「雷除け」という、言葉本来の意味でつかわれることも少なくなってきました。
そこで、「雷」を「厄介なもの」というように解釈し、「厄介なことを避けるためのおまじない」として使われることの方が増えてきました。
厄介ごと…人によって様々ですよね。
例えば、子供の学校で、PTA役員選挙が行われるとき
「どうかPTA会長には選ばれませんように、くわばらくわばら。」
と祈ったり、
町内会の役員を決めるとき
「どうか、町内会の会長に選ばれませんように、くわばらくわばら。」
と祈ったり…
車でのお出かけ中、かつて事故が起こったトンネルがあることがわかり、
「どうか何事もなく、無事にトンネルを無事通過できますように、くわばらくわばら。」
と唱えたり…
職場で風邪が流行っている時、
「どうか風邪がうつりませんように、くわばらくわばら。」
と願ったり…
いずれにしても、何か良くないことがこの先自分の身に降りかかりませんように、というおまじないとして使用します。
まとめ
今ではあまり耳にすることのなくなった、「くわばらくわばら」という言葉ですが、歴史をたどると、自分の身を守るための、強い祈りの気持ちがこめられた言葉だということがわかります。
こうやって考えてみると、「くわばらくわばら」って、なんだか、ものすごくご利益のある、ありがたい言葉のように思えてきました。
雷除けで使うことはあまりないかもしれませんが、厄介ごとから身を守るおまじないとしては、大活躍しそうな予感がします。
何か厄介ごとに巻き込まれそうになったら、心の中で強くお祈りをしてみようと思います。
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