毎年、夏になると必ずといっていいほど大雨のニュースが流れます。
さっきまで晴れていたのに、急に黒い雲が出てきて、大雨が降ってきた…こんな経験、ありますよね。
傘を持っていないので大慌てで雨宿りをしたり、せっかく干した洗濯ものが濡れてしまったり…突然の大雨には、本当に困ります。
ここでふと疑問に思ったことがあります。
・この突発的に起こる大雨は、なぜ「スコール」じゃなく、「ゲリラ豪雨」と呼ばれるの?
・「ゲリラ豪雨」という言葉、いつから使われるようになったの?
これらの疑問について、詳しく調べてみました。
ゲリラ豪雨とスコールの違いは?
「ゲリラ豪雨」と「スコール」の違いを一言で表すと
「ゲリラ豪雨」は突然の大雨
「スコール」は突然の、嵐のような風
となります。
「スコール」は、突然の大雨のことだと思っていたので、この定義を知り、衝撃を受けました。
詳しく調べてみると、「スコール」は1962年、世界気象機関(WMO)により、
毎秒8m以上の風速増加を伴い、最大風速が11m/秒以上で、1分以上継続するもの
通常、強い降水を伴うことが多い
と定義された、「気象用語」なのです。
「風が強い」といっても、一日中ずっと突風が吹き続けているわけではありません。
「スコール」は発生後数分で、突然ピタッとおさまるそうです。
(「ゲリラ豪雨」とは全く違いますね…)
それに対し、「ゲリラ豪雨」は、
予測困難な積乱雲の発生による、突発的で局地的な豪雨を指す
ものです。
そして、この言葉、実は気象用語はなく、マスコミが作り出した「造語」で、ほぼ日本国内でしか使用されていないのです。
ちなみに、気象庁では、「ゲリラ豪雨」という言葉ではなく、「集中豪雨」「局地的大雨」「短時間強雨」などといった言葉を、雨量などによって使い分けています。
「スコール」と「ゲリラ豪雨」との違いを
スコールは暖かい雨
ゲリラ豪雨は冷たい雨
と表すこともできます。
熱帯・亜熱帯地方で発生することがほとんどである「スコール」は、氷を含まない状態の雨雲から雨が降るため、「暖かい雨」ともいわれています。
それに対し、「ゲリラ豪雨」は、短時間に発生した積乱雲の中に含まれる氷の粒が、落下中溶けて雨になったため、「冷たい雨」とも呼ばれています。
ゲリラ豪雨を伝えるニュースの中で、時々上空から「雹(ひょう)や霰(あられ)が降ってきた」、というのを聞いたことはありませんか?
それは、雲に含まれる氷の粒が溶ける前に落下してきたからです。
このことからも、「ゲリラ豪雨」が「冷たい雨」と呼ばれる理由がわかります。
ゲリラ豪雨の名付け親は誰なのか?
「ゲリラ豪雨」という言葉が有名になったのは、2008年「新語・流行語大賞」へノミネートされたからです。
この年の夏は、日本各地で豪雨が発生し、甚大な被害を引き起こしました。
いつどこで降るか予測困難な大雨であることや、甚大な被害をもたらす恐れのある大雨だということをわかりやすく伝えるため、TVでアナウンサーや気象予報士の方々が、「ゲリラ豪雨」という言葉をたびたび使うようになったのです。
しかし、「ゲリラ豪雨」という言葉は、2008年に初めて生まれた言葉ではありません。
実は、1953年8月15日、朝日新聞の夕刊で、初めて使用されているのです。
当時の気象台の気象観測網は、まだまだ粗く、予測困難な集中豪雨が発生することも多かったそうです。
そのため、集中豪雨が「予想外の豪雨だった」ことを伝えるため、「ゲリラ豪雨」という言葉が使われるようになったと言われています。
まとめ
2008年以降、ゲリラ豪雨の発生件数は、年々増加しています。
これだけ毎年ゲリラ豪雨が続くと、いつどこでゲリラ豪雨に襲われるか、こればかりは、運しだいといった感じに思えてきます。
ゲリラ豪雨は、必ずといっていいほど甚大な被害をもたらします。
皆さん、急な大雨(ゲリラ豪雨)には、くれぐれもお気を付けください。
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